格安SIMの最大のメリットは月額料金の安さですが、この「安さ」という言葉は、大手キャリアとの比較からくる言葉です。
つまり、大手キャリアであれば料金に含まれているサービスが、格安SIMを販売するMVNOでは提供されていない、または簡素化されているということです。
ここから格安SIMのデメリットが発生してきますが、その不十分とされるようなサービスを甘んじて受け入れてでも、格安SIMには乗り換える価値があります。
テレビの節電や洗濯の節水で、1年かけてやっと節約できるような金額を、わずか1か月でやってのけますから、その効果は絶大です。しかも家族の人数分ともなれば、私は、何よりも優先して手を付けるべきだと思います。
※この記事は、「ドコモの回線を借りているMVNO」に絞ってご紹介しています。
格安SIM 4つのメリット
メリット1 月額料金が安い。キャリアのおよそ4分の1。
大手キャリアの平均的なプランは月額料金7,000円台。対して格安SIMの料金プランは、「データ通信」が約1,000円、「データ通信+通話」が1,500円~2,000円ほどとなっており、人によっては毎月5,000円以上の節約が可能です。
☆格安SIMのプランは、基本的に以下のようになっています。
データ通信(インターネット) | SMS(ショートメッセージサービス) | 音声通話 | |
データ通信専用SIM(データ通信のみができるSIMカード) | ○ | × | × |
データ通信専用SIM+SMS付き(データ通信とSMSができるSIMカード) | ○ | ○ | × |
音声通話SIM(データ通信もSMSも音声通話もできるSIMカード) | ○ | ○ | ○ |
また、最近では上記金額よりもさらに低価格なプランも登場してきており、選択の幅はますます広がっています。
- 楽天モバイル:「ベーシックプラン」データSIM…月額525円(税別)
- DMMモバイル:「シングルコース」データSIM…月額440円(税別)
- LINEモバイル:「データフリープラン」データSIM…月額500円(税別) など
メリット2 「2年縛り」に物理的にも精神的にも縛られない
大手キャリアの、俗にいう「2年縛り」は、MVNOにはほぼ存在しません。
音声通話SIMを契約した場合に、半年または1年以内の解約に解約料が発生するMVNOはありますが、そもそも、キャリアのような「2年契約」という概念がないため、解約のために2年ごとの更新月を待つ必要がありません。
つまり、長くても1年以上経過すれば、いつでも解約料なしで解約できるということです。しかも、データ通信専用SIMの場合は、ほとんどのMVNOで最低利用期間の設定がないので、精神的にも金銭面でも非常に助かります。
私はこの「2年縛り」に、1年近く思考の一部を占拠されていた時期があったので、もう「2年縛り」には戻りたくない、というトラウマとさえ言えるような気持ちがあります。
メリット3 料金プランの選択肢が多い
メリット1でもお伝えしましたが、格安SIMは「データ通信のみ」での契約ができます。
利用者は必要に応じて、SMS機能を付けたり、通話もできるプランを選べるので、選択の自由度が非常に高いと言えます。
また、データ通信の場合は、「容量の選択・繰り越し」、「繰り越しデータのシェア」、通話の場合は、「5分もしくは10分のかけ放題」、「料金が安くなる通話アプリ」など、ユーザーのニーズに合わせたさまざまなプランがあるため、自分に合ったプランがない、といったことはほとんどありません。
メリット4 若年層が初めてスマホを持つ場合に適している
中学生や高校生など、若年層が初めてスマホを持つ場合、キャリア携帯の経験がないので、音声通話や品質といった面で、妥協が許される、または本人たちは妥協しているつもりがない、といったメリットがあります。
例えば、音声通話はLINEの無料通話で十分の場合が多く、固定電話にかける必要がある時は、通話料や契約料が格安のIP電話「050plus」などで対応することができます。
我が家の話ですが、子供たちは携帯電話の歴史や仕組みなどに興味はなく、ただ「話せればいい」と考えているため、「通話品質が落ちた」「全体的な水準が下がった」とは考えず、それが「当たり前」だと思ってくれているようです。
そもそも、SNS世代の彼ら彼女らは、通話自体をほとんどせずメールもまったく使わないため、幸運にも一切不満が出ていないのが我が家の現状です。
これから初めてスマホを手にするお子さんがいらっしゃるご家庭では、是非とも格安SIMを検討対象の上位に置いていただきたいと考えます。
格安SIM 11のデメリットとその解決策
デメリット1 自分で端末を用意する必要がある
現在ドコモの端末をお使いの場合は、ほとんどの場合、そのままその端末が使えますが、新規で購入する場合は、自分でその格安SIMに合った端末を用意する必要があります。
これは、私も初めての時は少し腰が引けましたが、理解して行動すれば、特に不安に思う必要はありません。簡単に言うと、
- ドコモの中古スマホを購入する
- MVNOで格安SIMとのセット販売で購入する
- SIMフリースマホを購入する
の3パターンのどれかを選ぶだけです。ほとんどの場合、これで問題ありませんが、最後に念のため、各MVNOのホームページにある「動作確認済み端末」の一覧ページで確認すれば、使えない端末を買ってしまうようなことは起きません。
▼参考記事
格安SIMの購入と使えるスマホ(中古スマホ・端末セット・SIMフリースマホなど)について【体験談あり】

デメリット2 初期設定を自分で行う必要がある
格安SIMとのセット販売で購入する場合は、ほとんどの場合初期設定は済んでいますが、それ以外の場合は、通信方式とANP(アクセスポイント)の設定が必要になります。
ただ、この設定に関しても、各MVNOのホームページに端末ごとに詳しく説明がありますので、特に問題はありません。
私も、5~6回設定を行った経験がありますが、問題なくできました。苦手な方は、最初からサポートデスクに連絡するという手段もありますので、SIMカード同封の連絡先、またはホームページでご確認ください。
デメリット3 通話料金が高くなる可能性がある
大手キャリアとの契約では、一般的に「かけ放題」プランを選択していることが多いため、どれだけ電話をしても料金は一定ですが、格安SIMの場合は自分でプランを選択しない限り、原則「30秒あたり20円」の通話料金が発生します。
場合によっては、乗り換えた後の方が料金が高くなってしまう可能性があるわけです。
解決策として、各MVNOが提供している独自の通話プランを選択する方法があります。楽天モバイルやOCNモバイルONEなど、多くのMVNOでは「10分かけ放題」プランがあります。
また、各MVNO独自の通話アプリで半額となる「30秒あたり10円(15円)」のサービスもありますので、ご自身の通話頻度に応じてプランを選択することが望ましいといえます。
さらに、通話品質をさほど気にしない場合は、通話料の安いIP電話「050plus」やユーザー同士が無料の「LINE無料通話」といった選択肢もあります。
デメリット4 通信速度が遅い
これは、我が家で実際に体験しているので噂でないことは確かです。自宅などの電波の強い環境では起きない問題が、外出先では起こります。具体的には、やはり動画サイトで動画が動かないといったことが多く起こります。
これは、時間帯や各MVNOによる違い、端末によっても違いがあるので、一概には言えませんが、キャリアと同等の速度は期待できないのが現状です。
解決策は、外出先などではデータ通信量の多い動画等は控え、メールやWEBサイトの閲覧、SNSのやり取りなどに抑えるといったことが必要になると思われます。
デメリット5 キャリアメールが使えない
中学生・高校生といった新規での格安SIMの利用では、さほど問題にならないと思われますが、乗り換えをする方の場合は、最大のデメリットになるかもしれません。
10年、20年と使ってきたメールアドレスを、言わば「捨てる」ことになってしまうので当然です。私の周りでも、このことが原因で乗り換えられない方々がいるのも事実です。
ただ、解決策はいくつもあります。例えば、
- GmailやYahoo!メールなどのフリーメールを使う
- 楽天モバイルやOCNモバイルONEなどでもらえる新しいアドレスを使う
- キャリアの最安値プランでキャリアメールを維持する
などです。
1.は、メリットもあります。キャリアメールの場合はどうしても端末自体が必要ですが、フリーメールの場合は、インターネットにつながる環境があれば、どこでもどの端末でもメールが使えます。
2.は、キャリアメールがなくなっても新しいメールアドレスがもらえるMVNOに乗り換える方法です。これは、キャリアメールを使っていてもアドレスを変更した経験がある人が多いと思いますので、周囲に伝えるといった、過去の変更時と同じ作業が必要になるということになります。ただ、キャリア以外のアドレスを拒否設定にしている方は多いかもしれません。
3.は、2台持ちとなる方法で、少なからず料金が発生しますので、「節約」の観点から紹介を割愛させていただきます。ご了承ください。
デメリット6 大手キャリアのようなショップがほとんどない
楽天モバイルやQTモバイル(九州中心)のように独自のショップを展開しているMVNOもありますが、その数はキャリアとの比較にはなりません。
これまで、困ったことがあったときに必ずショップに出かけていた方には、少し不便な印象があるかもしれませんが、実はメリットもあります。
各MVNOには、ショップがないことを補うためにサポートデスクが充実しているという側面があります。わざわざ足を運ばずにその場にいながらにして問題を解決してくれるといった考え方もできるわけです。
私は、何社かのMVNOのサポートデスクの方と何度もやり取りをしたことがありますが、親切丁寧に対応していただき、その度に問題解決に至っています。
デメリット7 支払いがクレジットカード決済のみのMVNOが多い
一部、口座振替に対応しているMVNOもありますが、現状ではクレジットカード決済のみしか対応していないMVNOがほとんどの状況です。
クレジットカードを持っていない、または使いたくない方の解決策は、楽天モバイルなどの、銀行口座振替に対応しているMVNOを選択することです(楽天モバイルは手数料100円(税別)がかかります)。
デメリット8 MNPによる乗り換えでは少なからず不通の期間がある
これは、我が家でも経験しましたが、結論を言えば、特に大きな問題にはなりませんでした。簡単な流れは、
- 契約中のキャリアでMNP予約番号を発行してもらう
- 乗り換え先のMVNOにこの予約番号を伝える
- SIMカードが届いたら差し替えて必要があれば設定をする
- 開通の専用ページまたは電話等で開通の手続きをする
すべて自宅で手続きが可能なため、MNP予約番号の有効期間(15日)と、もとの携帯電話会社の解約金発生のタイミングを間違わなければ、問題なく乗り換えができます。
不通になる期間(時間)も、ケースバイケースではありますが、2度経験のある私の場合は、「数分」と「約1時間」でした。
▼関連記事
【格安SIMへの乗り換え方法】OCNモバイルONE⇒QTモバイル【リアルタイム解説】

デメリット9 デザリングに対応していない機種がある
各MVNOのホームページにある「動作確認済み端末」の一覧ページで確認できます。傾向としては、iPhoneはほぼ問題ありませんが、Android端末は対応していない機種が多くなっています。
デメリット10 LINEのID検索ができない
LINEは、青少年の保護を目的として、18歳未満のユーザーに対してID設定やID検索を利用できないよう機能制限しています。
通常、キャリアとの契約の場合、LINEの年齢認証はキャリアのデータを照合しているため問題は起きませんが、LINEは自社以外の各MVNOとのデータの連携を行っていないため、他のMVNOからでは年齢認証ができなくなっています。そのため、年齢確認が必須のID検索ができない状況が生まれています。
例外は、自社で年齢確認が問題なく行える「LINEモバイル」ということになります。
デメリット11 キャリア提供の各種サービスが使えない
この記事では、ドコモの回線を借りているMVNOに話を絞っているので、この項でも話をドコモに絞らせていただきます。
ドコモの場合は、「ドコモ払い」という決済サービスで、ネットショッピングやゲームのプレイ代金を、月々の支払いと同時に支払えるサービスがあります。限度額は大きくありませんが、一種のクレジットカードと同じ感覚で利用できます。これが利用できなくなります。
もう一つ主要なサービスでは「dポイント」がありますが、解約前に「dアカウント」を発行すれば「dポイント」を継続して利用できます。「dアカウント」はドコモとの契約がなくても「dTV」などのサービスが利用できる無料のIDです。
まとめ
- 月額料金が安い
- 2年縛りに縛られない
- 料金プランが多い
- 若年層に適している
- 端末を自分で用意する必要がある
- 初期設定を自分で行う必要がある
- 通話料金が高い
- 通信速度が遅い
- キャリアメールが使えない
- ショップが少ない
- ほぼクレジットカード払いのみ
- 乗り換えでは不通期間がある
- デザリング非対応機種がある
- LINEのID検索ができない
- キャリアサービスが使えない
人によっては、まだまだ他のデメリットもあると思いますが、譲れない項目でいかに妥協点を見つけるかが乗り換えの鍵になると思われます。
我が家の場合は、キャリアメールが使えなくなるところが問題でしたが、時間の経過とともに不都合は消えてなくなりました。
▼シリーズ【格安SIM・格安スマホへ乗り換え】の関連記事
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※金額、サービス等は2019年5月現在が基準となっています。最新情報は各WEBサイトでご確認ください。
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